怒りについてⅤ

 ”怒り”はネガティブな感情という認識が強いかもしれませんが、時には必要な怒りもあると思います。

 

 過去に、息子が学校で友達同士のトラブルに巻き込まれた時の話です。その問題の対応に当たった先生が、当事者の子供達に脅すようなことを言ったり、何時間も密室で怒鳴りながら尋問したりして、精神的に追い詰められる子が出てくる事態となりました。

 そのことを子供から聞いた私たち保護者は、これは問題だからきちんと抗議をしようという話になりました。そして、学校に掛け合って教頭・校長も含めた話し合いの場を設けてもらい、きちんと抗議をしました。教育者という立場である先生が、子供を傷つけるようなことをするのはおかしいのではないですか、対応の仕方が間違っているのではないですかと、親としての憤りをはっきりと伝えました。

 

 不正を摘発したり、犯罪行為を咎めたり、してはいけないことをした子供を親が叱ったり、といった場面で発する怒りは、相手に間違いに気づかせるパワーを含むと思います。

 

 

 ちなみに学校に抗議した際、個人的な感情だけで先生や学校を恨むことだけはしないようにしようと思いました。そのようなことをすれば、前回書いたリベンジループにはまることになるからです。怒りは放っておくといくらでも膨張するものなので、どこかで冷静にブレーキをかける意識を持たなければ、自分で自分をコントロールできなくなることさえあります。抗議をすることで、先生や学校に問題として認識してもらい、今後同じように傷つく子供が出ないようにしてもらうことが第一目的でした。なので、きちんとこちらの意見を伝え、それなりの対応をしてもらったら、あとはそれ以上責めたりせず、先生の心の状態も含めて全て良い方向に進むことだけに意識をフォーカスするようにしました(なかなか葛藤はありましたが)。

 

 物事が解決したら、もう終わったこととして執着しないことが、こういった体験をした際のポイントかと思います。怒りを必要以上に引きずってメリットとなることはありません。私自身も完璧にできているわけではありませんが、やはり根底に”愛”があること、これが基盤になっていれば、誤った方向にいくことはないのかなと思います。