怒りの大元

 フラワーエッセンスを使い始めた頃、個人的に使用頻度が高く、大変お世話になっていたのが、バッチの『ホリー』というレメディでした。これは、イライラ・むしゃくしゃ・怒り・嫉妬・妬みといった、他人に対する攻撃的な感情を和らげてくれるものです。思えば若かりし頃の私は、”怒り”を原動力に生きてきたような所がありました。世の中でゆるせないこと、ゆるせない人がたくさんいて、そういう不満や疑心を糧に、反抗心や反発心をエネルギーにして、頑張っていたような感じです。

 若かりし頃は、そのおかげでいろいろなことに挑戦することができましたし、ある程度プラスに働いていた部分もあるとは思います。けれど、そういう生き方をずっと続けるのは疲れるし、とてもしんどいです。怒りのエネルギーは、相手に向かっているようで、そのベクトルは必ず自分の方にも向かっています。怒りの感情に苛まされると、まず自分の内面が爆発して、その余波でしばらくどす黒い燻煙がたち続けます。この余波によって、自分の内面が汚されていく感じがずっとありました。簡単に言うと、怒りを抱いている間は、まったく気分が良くないのです。

 結局、怒りの感情は、他人にとってだけでなく自分にとっても、良い事なんか何もないということに気づき、私は自分の中の”怒り”と対峙することに決めました。

 

 ちょうどその頃、「怒りに向き合う方法」や「アンガーマネジメント」といったテクニックが巷で紹介され始め、いくつか試してみたりもしました。けれど私の感覚として思うのは、そういったテクニックは、一時的に怒りを鎮めてくれるかもしれませんが、結局は対処療法に過ぎないということです。怒りの根本原因が癒されないままであれば、次に似たようなシチュエーションが起こった時、怒りは再びやってきます。そして、その状況は何度も繰り返されます。

 

 この根本原因を突き止める努力を避け続けていれば、どれだけアンガーマネジメントを実践しても、何十本ものフラワーエッセンスを飲んでも、怒りは生じ続け、その感情に苦しみ続けると思います。

 

 この先の人生、怒りに支配されて生きるのはまっぴらごめんだと決心し、”怒り”が生じる度に、徹底的に自分の内面に向き合い、一体私の中の何がこの怒りを生じさせているのか、自分に問い続けました。自分が本気で知りたいと願ったことは、必ず答えが返ってきます。勇気を出して己の内面に向き合ってみると、今まで気づかないフリをしていた、たくさんの”思い”や”信念”や”恐れ”が出てきました。私はその1つ1つに向き合い、受け入れ、そして手放していきました。

 

 

 ふと気づいたら、私はすっかり、「ホリー」のお世話になることが減っていました。今でも時々飲むことはありますが、大体は日々の生活で起こるかすり傷程度の感情です。私が私に正直に向き合うようになったら、怒りで自分をごまかすのではなく、あるがままの在り方を受け入れられるようになってきました。怒りは、何かを受け入れることを拒絶している、抵抗の証です。自分の中の許容が深まれば深まる程、抵抗が減り、結果怒りが生じることも減っていきます。