粛々と

 新しい年になりました。

 

 去年は、振り返ってみれば、古いもの、自分にとって必要のないもの(物理的なものに限らず)を一気に手放した年でした。

 

 いざ手放してみると、なぜ今まで自分はこれに縛られていたのだろうと不思議に思います。何かに縛られている間は、なかなか自分が縛られている、執着しているという事実に気が付かないものです。そして、一度執着が外れると、もうそれまでと同じような付き合い方ができなくなります。

 

 思い返すと、ここ数年で随分、人間関係の変化もあったなあと思います。本当は楽しくないのに楽しいフリをしたり、義務感や相手に気を遣って望まないお付き合いをするのをやめることにしたからです。

 

 また、かつての私は、何かを決める際に、誰かの同意や後押しがなければ何となく不安でした。自分が信頼している人に、「それでいいんじゃない」とか、「やってみたら」と言ってもらい、背中を押してもらうことで、自分でも納得して進めることができたのです。なので、相談する人が何人か必要でした。

 けれど最近は、全ての答えは自分の中にあること、自分の人生の舵取りをするのは自分でしかないこと、私の本当の望みは私にしかわからないこと、他人の意見は関係ないこと・・・こうしたことが明確になってきたので、いちいち誰かの反応を気にしたり、人の意見を求める必要がなくなってきました。そのため、相手を頼り頼られといった共依存の関係に陥ることもなくなりました。

 

  最近、自分の内なる声に従って人生に変化を起こそうとしているのだけれど、いまいち自信が持てずにいる人達をターゲットにした、各種セミナーなどの自己啓発商法が巷に溢れています。私もかつて、うっかりそうした商法に乗っかりそうになった経験があります。自ら「先生」であろうとする人々の本質を見抜く眼力を養うのも、これからの世の中大切かと思います。

 ポイントは、その人の目的がエゴによるものか、それとも純粋な魂の望みからきているものか、という部分です。人間はいとも簡単に、金銭欲、名誉欲、自己顕示欲といった誘惑に引っ張られ、エゴの罠にハマってしまうものですが、純粋な目的を維持する強い意志力があれば、そうした欲望の道に簡単に堕ちていくことはありません。例えば、本がどれだけ売れたとか、何千人もの教え子がいるとか、有名セレブも通っているとか、そんな表面的なことばかりを自慢げにアピールしているのであれば、その人はエゴの罠に引っ張られている証拠です。そして、似たようなエゴの誘惑に惹かれて寄ってくる人達が、次々と餌食になっていくことになります。

 

 私自身もこれまでに散々迷い、あちこち彷徨い歩いてきた経験からいうと、世の中で本当に純粋な目的を抱いて活動している導師というのは、ごくごく希少な存在です。人生で一度でも出会えるかどうかさえわかりません。だいたい、そういった純粋で高次の目的の元に活動している人は、自己アピールをしないので、人目に触れることがあまりありません。本もやたら出しませんし、セミナーの類もほとんどしません。必要な時に、必要な人がやってくることを知っているので、自分からむやみに動かず、人目につかない場所でひっそりと暮らしていたりします。

 

 

 とにかく、邪の道に陥ることは簡単でも、純粋な意思を貫き通すことは至難の業です。今年も、周りに必要以上に振り回されず、淡々と、謙虚に、己の信じる道を一歩ずつ歩んでいこうと思っています。