情報との付き合い方

 アンジェリックエッセンスの”Discernment”(ディサーンメント)は、「洞察、識別」といった意味です。受け取る情報で、何が真実で大切かを見極める能力を高めてくれるエッセンスです。

 

 私たちは今、情報過多ともいえるほど、様々な媒体から流れる膨大な量の情報に晒されています。

 

 人間の脳の特徴として、人が一度に処理しきれない程度の量の情報を浴びせられると、脳が一時的にオーバーフロー状態となり、その情報の質を吟味したり、真偽を冷静に判断する処理能力が落ちるのだそうです。そして、与えられた情報をただただ受け身で取り込み、考えることなく鵜呑みにしてしまったり、言われた通りに動いてしまったりということが起こります。

 

 実際、そのメカニズムを応用した洗脳方法が、宗教やテロ組織、思想集団などによって利用されてきました。人間の脳の処理能力の限界を巧みに使って、相手の抵抗力と判断力を奪い、こちらにとって都合の良い思想を植え付けたり、言動を引き出したりするのです。

 

 そこまで強制的に洗脳されているとまではいかなくても、毎日膨大な量の情報を闇雲に浴び続けている環境は、まともな判断能力と思考能力を削ぐ一因となり得ます。特に子供は、与えられた情報をそのままに受け止める傾向が強いので、大人以上に晒される情報の質と量には注意をした方が良いかもしれません。

 

 

 私にも経験があるのですが、ある事が気になって、あれこれと情報を求めているうちに、情報の膨大な量に圧倒され、一体何が正しくて何が間違っているのか、どの考えを受け入れれば良いのかがわからなくなり、かえって混乱してしまうことがたまにあります。

 第一子が生まれたばかりの時など、子育てに対する自信のなさと不安から、育児本を読み漁ったものですが、様々な人が唱える様々な説に翻弄され、安心感よりもむしろ不安感の方が増強された記憶があります。

 

 情報が自分の周りで氾濫し、混乱している時こそ、一度情報の海から身を引いて、静かな場所でクールダウンすることが、主体性を引き戻す一つのステップになります。不安な時ほど情報を求めたくなりがちですが、過剰な情報収集はかえって答えを見えにくくします。

 私たちには本来、自分の力で物事を判断し、決断する力が備わっています。適度に適切な情報さえ与えられれば、何が自分にとって正しい道なのか、己の内なる声に耳を傾けるだけで、自然と答えが見えてくるものです。そのためには、脳のオーバーフロー状態を避けることと、心を鎮める状況を作ることが大切になります。

 

 情報の洪水から意識的に身を守ることも、今の時代においては必要なのかなと思います。その気になれば、いくらでも情報を受け取ることができる環境にいるからこそ、上手に付き合う術を身に着けることが大事です。

 やってくる情報にまともに対峙するためには、こちらもしっかり軸を保っていなければいけません。情報の量や刺激に圧倒されて思考停止状態にならないためにも、心にゆとりを持ち、冷静に受け止めて取捨選択したり、内容をかみ砕いて理解し、自分の糧としていきたいものです。