アファメーション

 日常生活を送っていて、何かを見たり聞いたりした時、なんとなく「嫌だな」と感じることはよくあると思います。大抵の場合、「なんか嫌だな」と感じたとしても、しばらくそこから離れていればすぐに忘れてしまうものだし、大したことでもないからそのままにしておくのではないでしょうか。

 

 私は、この「嫌だな」と思う感覚を、結構大事にしています。というのは、「嫌だな」と感じたということは、自分の中に未解決の問題があるということだからです。何かを見たり聞いたりしたことで、その問題(心のしこりだったり、昔の傷だったり、トラウマだったり、思い込みだったり)を内包する私のセンサーが反応し、「嫌だな」という感情が沸き起こったわけです。特に、ある特定の人の言動をみる度にこの「嫌だな」が沸き起こっている時には、私がその人を通して、何かを投影してみているということ。私があることに対して強いこだわりを持っている証拠です。私の中で、「こうしてはいけない」「こうあるべき」という思いがあるのです。または、癒されていない過去の記憶があって、その人を見る度にその記憶が浮上してきているということです。

 

 何か(もしくは誰か)に対して「嫌だな」と反応したことで、私は自分の中にある思い込みやこだわり、執着、傷などに気づくことができます。「嫌だな」と思うこと自体は、悪い事でもマイナスでもなく、ただ私に自分の内面をみるきっかけを与えてくれるもの、ととらえています。「嫌だな」と感じたら、そこから派生するいろいろな思いや感情を素直に感じ、心の声に耳を傾けます。すると、私が具体的に何が許せないと思っているのか、何に最も強く反応しているのかが見えてきます。

 それは、私が自分に足りないと感じていることかもしれません。過去にとても嫌な気持ちになった出来事を彷彿とさせるのかもしれません。私が強く望んでいるのに、まだ手に入れていないことが、自分で許せないのかもしれません。「こうあるべき」なのに、そうではないやり方を選んでいる人が許せないのかもしれません。

 

 どんな出来事であっても、どんな人であっても、その出来事自体、人自体に善も悪もありません。物事は全て中立です。ただ私がネガティブな反応をしたり、ポジティブな反応をしているというだけです。

 

 

 ネガティブな感情が湧き出してきて辛い、とおっしゃるお客さんがたくさんいらっしゃいます。ネガティブな感情は、そこに飲み込まれてしまうと確かに苦しいです。けれど、ネガティブな感情を決して悪者にしないでください。否定しないでください。受け入れられずに拒絶すればするほど、それは大きくなります。まずは、そんな感情を抱いている自分を受け入れてください。赦してください。全然悪いことなんかじゃありません。人間として生きている限り、感情は永遠になくならないのです。喜ばしい感情も、そうではない感情も、取りあえず善悪の区別をつけずに、そのまま受け入れてください。感じてみてください。良いも悪いもありません。自分を責めないでください。

 否定せずに受け入れることができれば、決してそこに飲み込まれることはありません。自分を保って見つめることができます。冷静に、自分の感覚を信頼してください。私の神性な感性は、何かに反応しました。私はこの聖なるセンサーを心から信頼しています。私は、一体何が赦せないのでしょうか?

 

 私が何かを赦せていないこと、しがみついていること、こだわっていること。それがどんなにネガティブな思いであっても、私は、こうしたあらゆる思いを抱いている私を認めます

 

 過去に嫌な思いをしたり、傷ついたこと。または、誰かを傷つけたこと。私は、そこに関わった全ての人と、その出来事を体験することを選んだ私を赦します。私の心はその出来事で傷ついたかもしれないけれど、または私のしたことで誰かの心を傷つけたかもしれないけれど、私も相手も、何かのレッスンのためにこの出来事を自分の人生に招き入れました。それは、起こるべくして起こりました。誰も悪くないし、責められる必要もありません。そして、その出来事によって私の魂が傷ついたことはありませんし、これからもそうです。過去に私がどんな体験をしたとしても、私は私を愛しています。

 

 こうしたアファメーションは、ともすれば自分や他人を責めがちな傾向がある時、考え方のベクトルを変えるためにとても有効な方法です。物心ついた頃から自分を責め、罪の意識を感じる生き方に慣れてしまっていると、なかなか自然に「赦す」という感覚が持てないかもしれません。自分を責め、他人を責める思考が強いと感じるようでしたら、このように強制的に自分の思考回路を変えるトレーニングをすることをお勧めします。

 長年の思考癖も、ポジティブなとらえ方をするアファメーションを繰り返し行うことで、徐々に変わっていくはずです。

 

 まずは、どんな感覚でも、自分が抱いた感覚を大事にしてあげてください。