バッチフラワーの中に、「ビーチ」というレメディ(フラワーエッセンス)があります。和名は、ヨーロッパブナです(写真は、ウィキペディアより引用)。
『他人や物ごとの悪い面にばかり目がいき、ついあら探しをしてしまったり、批判的になってしまう』人や、そのような状態になっている時に飲むと良いレメディです。セッションでも結構出番が多く、私もフラワーエッセンスを学び始めた頃、だいぶお世話になりました。あまりにもよく飲むので、なくならないようにストックを置いておかないと落ち着かなかったほどです。
物心ついた頃から、私は批判精神が旺盛でした。自分が気に入らないタイプの人に嫌悪感を感じ、気に入らない場所や納得のいかないやり方、環境、社会の在り方に至るまで、とにかく不満だらけで、心が満たされることがありませんでした。
コインの裏表があるように、人の性格の長所と短所も、表裏一体の関係であるといわれます。例えば、上記のような「批判精神が旺盛な人」というのは、本来理想が高く、鑑識眼に優れていたり、物事の真理を見抜く鋭い視点を持っていたりするものです。そうであるからこそ、自分の理想とする状態と現実が異なった時に、ストレスを感じたり、「なぜそうならないのだろう」とイライラしたり、他人や状況を責めたくなってしまうのです。
フラワーエッセンスは、個人が生まれながらに持っている気質がネガティブに傾いてしまっている時、ポジティブな状態に引き戻してくれる力があります。つい物事を批判的に見てしまう人がビーチを飲むと、どの人も持っているポジティブな一面や、物事の良い面に目がいくようになり、ストレスやイライラが治まっていきます。
かつての私は、今自分が置かれている環境や、目にするものの「足りていない部分」や、「嫌だなと思う側面」にばかり目がいっていたように思います。理想とする社会や人の在り方があって、それにそぐわない人や状況を見ては、いちいちへこんだりイライラしたりしていました。おかしいと思うことは率直に口に出すタイプだったので、トラブルになることもしょっちゅうでした。
今思えば、「あるがままを認める」ことができていなかったのだと思います。そもそも、自分が「こうあるべき」と考える形があったとしても、果たしてそれが本当に「そうあるべき」であるかどうかは、どうやってわかるのでしょう。なぜ、「そのままの状態」がいけないのでしょうか。なぜ、変わるべきだと思ってしまうのでしょう。
それは、そうあるべきだからそこにあるのです。あるべくして、そこにあります。人も物も植物も動物も建物も、全てあるべき姿で、あるべき場所に存在しているのに、私は自分の頭の中だけで勝手に作り上げた価値基準に当てはめて、「これは良い」とか「これはダメ」などとジャッジしていました。
ある時から少しずつ、自分の中に作り上げられきた価値基準が崩壊していくにつれ、それまで気になっていたことが気にならなくなり、嫌だなと思っていたことが嫌でなくなり、ネガティブな想念が湧き起る回数がどんどん減っていきました。人や物はそのままでも、私の中の物差しが変わったために、同じものを見た時の私の反応が変わったのです。
せっかくこの世に生まれてきたのだから、文句ばかり言いながら生きるよりも、状況を楽しみながら、調和しながら生きたい。そんな思いが日に日に強くなっています。自分に合わないなと思うことは無理にしなくてもいいけれど、それはそれとして認めて受け入れつつ、離れていればいいだけです。批判をする必要はないのです。だって何も悪くないのだから。