人と話をしている時やセッションをしている時、その方に「自分でもどうしてなのかわからないけれど、なぜかそのように考えてしまう」という”思いグセ”があることに気づくことがあります(ご本人は気づかれていていないことが多いようです)。それは、その方が生まれてから両親や先生といった身近な人々からの影響を受けて形作られてきたり、成長過程の環境がそうさせていることもあります。しかし時として、もっとずっと昔の記憶を引きずっているのではないかと感じることもあります。いわゆる過去生の記憶です。
セッション中など誰かと対面している時、今のその方と全く異なる昔の人物のビジョンが見えてくることがあります。初めは、自分が白昼夢か何かを見ているのかと思っていたのですが、ある時、その映像はその方の過去生の姿なのではないかと気づきました。姿形は違っていても、エネルギー(波動)が似ているのです。ずっと気のせいだと思い込んでいたのですが、あまりにもハッキリ見えたことがあって、思い切って自分が見えているものをそのままお伝えすると、その方は「ハッ」とされて「そうなのではないかと思います」とおっしゃいました。
過去生での経験や、その人生で強く感じた想念、やり残したこと、次の生(今生)に持ち越した課題などを感じるがままにお伝えすると、腑に落ちたような反応をされることが多いです。転生とは、何十回、何百回、何千回と繰り返しているものなので、ある過去生での出来事だけが全てということはありません。数多くの人生で体験したことが、複雑に絡み合って今の状況に影響を与えていると思います。ですので私は、あるビジョンが見えてきた時、今その方が取り組もうとされている課題に向き合うタイミングで、私という媒介を通じ、今のその方に最も影響を与えている過去生での経験を参考までに教えられているのかな、くらいに捉えています。
例えば、今夫婦関係になっている方が、ある過去生においては兄弟同士で、弟の方(今生では夫)が非常に自由奔放に気ままな暮らしをしていたのを兄は快く思っていなかったとします。今生においてなぜか妻は、自分の夫が趣味に走ることを許すことができず、もっと私に目を向けてほしいと強く望んでいたりします。また、ある過去生で趣味を延長させたような芸術活動をしながら優雅に独身生活を送っていた僧侶であった人が、今生においては家庭を持ち、複数の人と共同生活をすることで自由な時間がとれず強いストレスを感じていたりします。前者の場合は、夫(弟)の方は家族をもっと気遣い、自分勝手な行動を慎んでコミュニケーションをはかることを今生での課題にしているようです。同時に妻(兄)の方は、夫の足りない部分を非難するのではなく受け入れて、夫の人間的成長を暖かく見守ることを課題にしているようです。そして後者の方は、家族という共同体の中で、協調性を学びながら自分らしさを伸ばしていくことを課題にしているようです。
こういったことは、特に知らなかったとしても、現在取り組もうとしている課題にきちんと向き合いさえすれば、何の問題もないと思います。過去生で何があったかなど、知っても知らなくてもどちらでも良いのだろうと思います。大事に取り組むべきなのは、今のこの人生です。
けれど私自身のこれまでの経験からすると、「自分でも理由がわからない思いグセ」が過去生からの影響を強く受けている場合、少しヒントとなるような情報を与えられると、スッキリして「なあんだ、そんなことだったのか」と納得することが多いようです。そして、理由が分かると人は安心して、もうそのとらわれを手放そうという気持ちになっていくようです。
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